【学習】「理科(生物基礎)」授業 ~糖尿病からダイアベティスへ~
専修学校クラーク高等学院札幌大通校の1学年では、「理科(生物基礎)」という科目の学習をしています。
「ヒトのからだの調節」という単元では、血糖濃度の調節について、インスリンというホルモンの働きや、糖尿病という病気について学びます。しかし、糖尿病という病名は有名ですが、1型糖尿病と2型糖尿病という違いについてはよく知られていません。そのため、すべての糖尿病患者に対して「生活習慣が乱れているから病気になった」などという偏見を持たれています。また尿という言葉を含むため、不潔というイメージを持っている人もいます。これらの偏見が社会に存在すれば、推計2000万人とされる罹患者または予備軍の人々は、周囲に相談したり通院することに後ろめたさを感じるようになってしまいます。その結果、重症化し命が脅かされるという個人の問題だけでなく、社会保障費の増大という国民全体の問題に拡大します。
これらの偏見による「医療ロス」をなくすため、近年提唱されているのが「ダイアベティス」という英語由来の名称に変更することです。生徒たちは、「ダイアベティス」への変更によるメリット・デメリットの双方を考えたうえで、動画を用いてこの名称を啓発するという活動に取り組みました。実際に動画を撮ることは時間の都合上できないため、ドラマやアニメの制作の際に用いられる絵コンテを作成し、その内容を他のグループの生徒たちに説明しました。
どうやったら見てもらえるか、理解してもらえるかと思考を巡らせ、青春ドラマのようなアイデアを出すグループもあれば、子供になじみのあるキャラクターを用いてストーリーを作るグループもあり、高校生ならではの価値ある提案を行うことができました。
この活動を通して、「自分自身が糖尿病に対してネガティブなイメージを持ってしまっていたので、考えをアップデートすることができた」という声や「病名が差別につながってしまうという視点はなかったので新しいことを学ぶことができた」という声が多く、誰一人取り残さない社会に向けて1歩前進できたようです。


