私立高校の無償化はいつから?2026年度から拡充される支援内容をわかりやすく解説
1. 私立高校無償化の目的と仕組み
私立高校の無償化は、「家庭の経済状況にかかわらず、子どもが学びたい学校を選べる社会をつくる」ことを目的とした国の制度です。
正式名称は「高等学校等就学支援金制度」で、授業料の一部または全額を返還不要の給付金として支援します。
この制度は2010年から段階的に導入されており、2026年度には大幅な拡充が予定されています。
2. 2026年度から何が変わる?支援内容の拡充ポイント
2025年10月、自民・公明・日本維新の会の3党が、2026年度からの高校授業料無償化の最終合意を発表しました。
これにより、私立高校への支援は次のように変わります。
所得制限の撤廃
これまで年収910万円以上の世帯は支援対象外でしたが、2026年度からすべての家庭が対象になります。
これにより、どの世帯でも一定額の授業料支援を受けられるようになります。
支給上限額の引き上げ
- 私立全日制高校: 現在の年額39万6,000円 → 45万7,000円に引き上げ
- 私立通信制高校: 年額29万7,000円 → 33万7,000円に引き上げ
この改定によって、全国の私立高校授業料の平均(約45万円)に近い金額が支給されるようになります。
実質的に「授業料がほぼ無償」となる生徒が大幅に増える見込みです。
実施時期
制度は2026年度(令和8年度)から本格的にスタートします。
3. 2025年度からの段階的な変更(過渡期措置)
2026年度の完全実施を前に、2025年度から以下の変更が先行して始まります。
- 所得制限が一部撤廃され、全世帯に対して年11万8,800円が支給。
- 公立高校は全世帯で授業料実質無償化。
- 私立高校の加算額(最大39万6,000円)は、2025年度は年収約590万円未満の世帯が対象。
つまり、2025年度時点ではまだ段階的措置ですが、2026年度にはすべての家庭が実質無償化の恩恵を受けられるようになります。
4. 支援の対象となる学校と制度の範囲
「高等学校等就学支援金」は、次のような学校で利用できます。
- 高等学校(全日制・定時制・通信制)
- 中等教育学校(中高一貫校の後期課程)
- 特別支援学校の高等部
- 高等専門学校(1〜3年次)
- 専修学校高等課程
- 文部科学省が指定する外国人学校や各種学校(条件付き)
つまり、「高校」という名称に限らず、高校教育相当の課程であれば対象となります。
5. 外国籍の生徒への対応(2026年度からの変更点)
2026年度からは、外国籍の生徒に対しても新しい基準が導入されます。
- 在留資格が「留学」の場合は対象外。
- 永住が見込まれない短期滞在の留学生も対象外。
- 外国人学校の生徒は原則対象外だが、別制度で同水準(年11万8,800円)の支援を継続。
- 現在在学中の生徒には、卒業まで現行制度が適用。
このように、支援範囲の明確化が進められています。
6. 注意点:「授業料以外」は自己負担
「私立高校無償化」といっても、支援対象は授業料のみです。
入学金・施設費・教材費などは自己負担となります。
文部科学省の調査(令和5年度)によると、私立高校に通うためにかかる平均費用は以下の通りです。
- 入学金:約16万6,000円
- 施設設備費:約15万7,000円
- 制服・用品代:10万円以上のケースも
- 教材・タブレット費:年間数万円
- 修学旅行・PTA・後援会費など:合計で10〜20万円前後
授業料が無償化されても、年間50万円程度の諸費用は発生します。
入学時には一度に40〜60万円程度を用意しておくのが安心です。
7. 授業料以外の支援制度も拡充へ
経済的負担が大きい世帯のために、授業料以外を支援する制度も整備されています。
高校生等奨学給付金制度
生活保護世帯や住民税非課税世帯(年収約270万円未満)を対象に、
教科書代・教材費・修学旅行費などを返還不要の給付金として支給。
2025年10月の3党合意では、中所得層まで対象を拡大し、国が全額負担する方針が盛り込まれています。
8. 自治体独自の支援制度(2025年度最新情報)
国の制度に加え、自治体独自の支援制度を活用すれば、さらに負担を軽減できます。
- 東京都:2024年度から所得制限を撤廃。国と都の助成を合わせて、私立高校の平均授業料(約49万円)まで支援。
大阪府:2024年度から段階的に高校3年生から無償化。2026年度には全学年で所得制限なしに。 - 神奈川県:年収約750万円未満の世帯に最大46万8,000円を支給。非課税世帯には入学金最大21万円を別途支援。
都道府県によっては、国の制度以上の支援を受けられる場合もあります。
9. 通信制高校も「私立高校無償化」の対象に
今回の制度拡充では、私立通信制高校も無償化の対象に含まれています。
支援上限は年33万7,000円に引き上げられ、従来より大幅に手厚くなります。
通信制高校は、通学日数や学習スタイルを選べる自由度の高い教育形態です。
全日登校で学ぶ「全日スクーリング型」の学校もあり、私立通信制高校の中でもクオリティの高い教育が注目されています。
10. クラークNEXT高等学校でも支援を受けられる
たとえば、クラークNEXT高等学校でも、
年間学費118万円(教材費・施設費を含む)のうち、最大39万6,000円が国の就学支援金として支給されます。
これにより、実質の自己負担は約78万円程度に抑えられます(世帯年収によって変動)。
クラークNEXT高等学校は、大学進学率が73.2%(全国通信制平均26%)と非常に高く、
「授業料が安くなった分、教育の質で選ぶ」という新しい価値観を体現する学校です。
11. まとめ|「無償化」で広がる、学びの選択肢
私立高校の無償化は、単に家計負担を減らす制度ではありません。
すべての子どもが「通いたい学校を選べる」社会への大きな一歩です。
2026年度からは、
- 所得制限が撤廃され、全世帯が対象
- 私立全日制は上限45万7,000円、通信制は33万7,000円
- 授業料以外も給付金制度でサポート拡充
無償化で経済的な壁がなくなった今こそ、「どんな環境で学びたいか」を考える時期です。
通信制高校もこの流れに含まれており、クラークNEXT高等学校のように「大学進学」「専門分野」「自分らしい学び」を支援する学校が増えています。
🔗 関連リンク
- 文部科学省:高等学校等就学支援金制度
- 東京都:私立高校授業料軽減助成金