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クラーク国際×専修学校で学ぶダブルスクールの形 これまでの常識にとらわれない、多様な学び方に注目!

コロナ禍が一変させたものの一つが学校教育です。世界中でオンライン授業が導入され、教育は学校の教室で受けるものという前提が崩れました。改めて教育の多様性について考えた人も多いのではないでしょうか。実は日本では多様なニーズに応えるための学び方が制度化されています。その一つが、専修学校です。

従来の専修学校は、何らかの理由で中学までの学業が疎かになった生徒たちの再スタートを支援する教育機関として重要な役割を果たしていました。しかし近年は、それだけにとどまらず多様な学び方も注目されているといいます。どんな教育が実践されているのでしょうか。専修学校クラーク高等学院大阪梅田校(以下、クラーク高等学院)を訪ねました。

専修学校とは

専修学校は職業や実際の生活に必要な技能を育成する学校として、1976年に創設された。学校教育法第一条に規定されたいわゆる「一条校」の高等学校に当てはまらない学校群であり、その課程には高等課程、専門課程、一般課程がある。このうち中学卒業者が入学できるのが高等課程だ。令和3年度の文部科学省学校基本調査によると、高等課程を置く専修学校は全国に397校ある。高等学校とのダブルスクールで学べる制度があり、これにより高等専修学校と高等学校のカリキュラムを同時に効率的に学び、卒業時には2つの高校の卒業資格が得ることができる。クラーク高等学院はクラーク記念国際高等学校の連携校だ。

JR大阪駅、阪急・阪神線梅田駅などから徒歩10分以内にある専修学校クラーク高等学院大阪梅田校

クラーク高等学院の図書室。電子図書館を備える

目次

専修学校のカリキュラムとは?

クラーク高等学院はクラーク記念国際高等学校の連携校。大阪地区統括責任者を務める阿部賢太さんは「専修学校の第一の特徴は、学習指導要領が定めるカリキュラムに縛られないこと」と話す。

専修学校は、専門的な技能や知識を身につけることを目的としているため、社会のニーズにあった多種多様な学科が設けられる。クラーク高等学院にも、パフォーマンスコース、インターナショナルコース、総合進学コース、eスポーツコース、プログラミングコースを備える。それぞれのコースに合った授業を中心に、国語や数学などの主要教科も時間割に組み込まれ、技能と学力両方の定着に力を入れる。

将来は技能を生かした仕事に就きたいと思う生徒にとって、合う学科やコースが見つかれば魅力的なカリキュラムだ。一方、阿部さんは「当校では職業教育だけを目的にはしていない」と話す。

何かに特化して学び、一つのことをやり切ることで自信をつけてもらうことを大切にしています。プログラミングコースだからといって必ずしもプログラマーになってほしいと考えていません。どのコースでも学ぶプロセスを通して、コミュニケーション力や協働力、実行力を養い、それが社会のどんな場面においても役立つような教育を心がけています」

大阪地区統括責任者の阿部賢太さん

ダブルスクールで高校卒業資格も

では、専修学校の卒業後はどんな道を歩むのだろう。もっと専門的に学ぶため、上の専門課程に入学したり、得た技能を生かして就職したり、その進路はさまざまだ。また、専修学校は高等学校と同様、大学入学資格が得られるので、大学へ進学する生徒もいる。

とはいえ、高等学校の技能連携校としてダブルスクール制を採用している専修学校は多い。クラーク高等学院の生徒も、併設されている通信制高校クラーク記念国際高等学校に籍を置く。

専修学校の生徒にとってのダブルスクールのメリットは、高等学校の学習内容もバランスよく学べ、かつ高等学校の卒業資格も取得できることです。大学によっては専修学校の卒業資格を認めていない場合もあり、高校卒業資格があったほうが進路選択に有利です」と阿部さんは説明する。

クラーク高等学院では、卒業生の約6割が4年制大学に進むという。この高い進学率は、クラーク記念国際高等学校にも籍を置くため、クラーク記念国際高校がもつ300校以上の指定校推薦枠を利用できることも大きな理由の一つだ。

進路に関して調べ物をしたり、相談したりできるキャリアガイダンスルーム
おもにプログラミングコースの生徒たちが使う教室

画一的ではない学びで伸びる「非認知能力」

阿部さんは学校教育には二つの役割があると考えている。
一つは知識や技術を教えること。もう一つは非認知能力を伸ばすことだ。

非認知能力とは、「主体的に学ぶ力」「周囲と協調して物事を進める力」「円滑なコミュニケーションを図る力」など、学力テストなどで数値化できないスキルのことを指し、社会で生きていくためにとても大切な能力といえる。

「オンライン学習が当たり前になった今、知識や技術は学校にきて集団で学ぶ必要はないかもしれません。しかし非認知能力は個人では養えません。この力の育成こそ、学校教育の主軸であるべきだと思っています」(阿部さん)

これまでもクラーク高等学院では、専修学校の柔軟なカリキュラム制度のもと、専門コースなどにPBL(課題解決型授業)を多く取り入れてきた。授業だけでなく、生徒が主体となって運営する学校説明会や、地域と交流する学校祭など、社会性やコミュニケーション力を養う多彩な活動も積極的に行なっている。

「今後はもっと生徒たちが、そうした活動でどんな非認知能力がついているか、自分自身でも把握できるよう、具体的なカリキュラムを作っていきたいと考えています」(阿部さん)

生徒が主体となり学校説明会を運営する

日本の教育はより多様にカスタムメイド化

クラーク高等学院大阪梅田校の片山義弘校長は、「専修学校のよさが社会的にまだ認知されていない」と指摘する。
「専修学校のカリキュラムは、子どものいろいろな可能性を伸ばすことができます。学校に通う良さもあり、人とのつながりの中で、協調性や表現力が身につきます。中学まではうまくいかなくても、専修学校でやりたいことを見つけ、生き生きと輝く生徒がたくさんいます」

クラーク高等学院大阪梅田校の片山義弘校長

阿部さんは教育の未来をこう見据える。
「あと数年で、日本の教育は大きく変わるのではないかと思っています。学習指導要領が新しくなり、昨年から文科省では高校の普通科の見直しが始まっています。これまでの当たり前が当たり前でなくなるなかで、時代のニーズに合わせた、一人ひとりの才能を開花させる教育はどうあればいいのか。専修学校が果たす役割は大きいのではないでしょうか」

Interview with a student
「大好きな英語に特化して学ぶことができ
大満足の学校生活です」

川端さん
インターナショナルコース2年生

生徒会の広報委員長として学校説明会で司会などを担当する川端さん

中学2年生の時にニュージーランドに留学したことがきっかけで英語が好きになりました。英語を中心に勉強したくて、クラーク高等学院を選びました。インターナショナルコースは午後の授業が全て英語で、ネイティブの先生が英語で授業をしていることが決め手になりました。

入学後1年間でTOEICのスコアは200点上がりました。授業はとても楽しいです。今の目標は英検準1級をとること。ライティング力の強化に力を入れています。先生たちが放課後、勉強に付き合ってくれるので心強いです。

受験前は、専修学校は高校とは違うことが少し不安で、両親もそう思っていたようです。しかし、一緒に学校説明会に参加し、実際に話を聞いたり授業を見たりして、その印象は変わりました。

授業が習熟度別クラスであることも魅力の一つです。自分のレベルに合った勉強ができるし、上のクラスに行きたいというモチベーションもがわきます。

卒業後は大学に進学し、外国語を専門的に学びたいです。色々な国に行き、多様な世界を見てみたいと思っています。

取材・文 稲田砂知子

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