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キャンパス長コラム「保護者の皆さまへ⑥ 『できないこと』より『できること』~子どもの強みは意外なところにある~」

このコラムでは、約20年間、通信制高校教員として不登校や発達特性のある子どもたち、そして保護者の皆さまと向き合ってきた経験をもとに、子育てや進路、教育について感じていることをお伝えしていきます。少しでも皆さまの安心やヒントにつながれば幸いです。


この記事で分かること

✅ 子どもの「できていないこと」ではなく、「今できていること」を出発点にすることの大切さについて考えます。

✅子どもの小さな行動や強みを見つけ、安心感や自信につなげていく保護者の関わり方をお伝えします。


今、学校に行きづらいお子さまを持つ保護者の皆さまは、日々尽きない心配を抱えていらっしゃると思います。

「学校に行けないまま、将来どうなってしまうのだろう」
「朝起きられないと、これから困るのではないか」
「人とうまく話せないままだと心配」
「『勉強やる!』と言っても続かない……」

お子さまのことを見ていると、心配が尽きないのは親として当然のことだと思います。

ここで、少し考えてみてほしいのです。

子どものことを心配すればするほど、実は子どもの「できていないこと」を無意識に数えてはいないでしょうか。そして、「できていないこと」をどうすれば「できるようになるか」と考え、そのための方法やアドバイスを伝えてはいないでしょうか。

実は、保護者が心配していることの多くは、子ども自身も気づいていることがあります。

その中で、さらに「こうした方がいい」「こうすればできるようになる」と言われ続けると、子どもは「できていない自分」を必要以上に意識し、自分自身を責めてしまうことにもつながります。

私は、子どもの心を大きな「器」のように考えることがあります。

その一番底にあるのは、「ここにいて大丈夫」「自分を受け入れてくれる人がいる」という安心・安全の感覚です。

その上に、「自分は認められている」という感覚や、「これをやってみたい」という気持ちが重なり、やがて夢や目標、自己実現へとつながっていく。

では、その器の底に穴が開いていたらどうでしょうか。

どれだけ上から「勉強を頑張ろう」「朝起きられるようになろう」「学校に行ってみよう」と注いでも、なかなか器の中にはたまっていきません。

まず必要なのは、穴を塞ぎ、安心できる土台をつくることなのだと思います。

そのために、私が大切にしたいのが、子どもの「できていないこと」ではなく、今すでに「できていること」を見つけることです。

学校には行けていなくても、好きなゲームについてなら何時間でも調べられるかもしれません。

人と話すことは苦手でも、自分の思いを文章やイラストなら表現できるかもしれません。

勉強は続かなくても、好きなことなら毎日欠かさず続けているかもしれません。

朝起きることが難しくても、家族が困っているときには優しい言葉をかけられるかもしれません。

「そんなこと?」と思われるものもあるでしょう。

でも、私はそうした小さな「できていること」の中に、その子が次に進むためのヒントが隠れていると思っています。

大切なのは、「できないこと」を見ないようにすることではありません。

できないことも、その子がこれから生きていく中で向き合わなければならない場面はあるでしょう。

ただ、できないことを出発点にするのではなく、できることを出発点にする。

それだけで、子どもへの関わり方は少し変わってくると思います。

「ここまではできているね」
「これは続けられているね」
「こういうことは得意なんだね」

そんなふうに、今ある力を一緒に見つけていく。

そうして、自分の中にも「できること」があると気づいたとき、子どもの心の器には少しずつ自信がたまっていくのではないでしょうか。

保護者の皆さまにお願いしたいのは、ぜひお子さまの「できていること」を見つけ、言葉にして伝える視点を持っていただきたいということです。

今ある結果だけではなく、その過程にある行動にも目を向けてみてください。

子どもの年齢によっては、伝えても「別に……」と、あまり反応がないかもしれません。

それでも、すぐに反応が返ってこないからといって、言葉が届いていないとは限りません。

日々の小さな言葉の積み重ねが、「自分を見てくれている」「自分を認めてくれている」という感覚につながり、心の器を少しずつ支えていくのだと思います。

そして、その安心感が、子ども自身が「やってみたい」と思えることを見つけていくための土台になっていきます。

これまでこのコラムでは、動き出せない気持ち、ゲームに夢中になる理由、保護者の関わり方、「好き」の力、人間関係について考えてきました。

どのテーマにも共通しているのは、目の前に見えている行動だけで、子どもを判断しないということです。

「できないこと」だけを見るのではなく、その子が今できていること、好きなこと、頑張っていることを見つける。

そこを出発点にすることで、子どもたちは少しずつ次の一歩を踏み出していくのだと思います。

そして、子どもたちの「できること」を伸ばしていくためには、その子に合った環境を選ぶことも大切です。

次回からは少し視点を変え、「通信制高校とはどのような学校なのか」「どのように学校を選べばよいのか」についてお伝えしていきたいと思います。 今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。


「キャンパス長プロフィール」

自身の不登校経験を踏まえ、約20年間、広域通信制高校の教員として様々な子どもたちの支援に取り組む。専門は歴史教育、特別支援教育など。学校だけでなく、地域や様々な専門機関との連携を大切にしながら、一人ひとりの得意・不得意を認め合い、それぞれが力を発揮できる学校づくりを目指して日々奮闘中。 現在、クラーク記念国際高等学校 横浜青葉キャンパス長。

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