「うちの子、大丈夫?」が希望に変わる親のための子育てのヒント ――スマホ、勉強、進路、親子関係。子どもが自分で動き出す力を育てるために
はじめまして。山本崇雄です。
僕はこれまで、「教えない授業」と呼ばれる実践を通して、子どもたちが自分で考え、自分で選び、自分で動き出す学びを追いかけてきました。現在は、進徳女子高等学校校長、創志学園中高改革担当などを務めながら、学校・企業・地域を越えて、自律型の人材を育てる教育に取り組んでいます。
これまで『「勉強しなさい!」と言わない子育て』『なぜ「教えない授業」が学力を伸ばすのか』『「教えない」から学びが育つ』などの本も書いてきました。 僕が一貫して大切にしてきたのは、子どもを大人の思い通りに動かすことではありません。 子ども自身が、自分の人生を自分で動かしていく力を育てることです。
この連載では、クラーク記念国際高等学校で学ぶお子さんを持つ保護者の皆さんと一緒に、子育ての中にある切実な問いを考えていきたいと思っています。
たとえば、こんなことはありませんか。

「スマホばかり見ていて、勉強しない。このままで大丈夫?」
「何度言っても動かない。結局、親が言わないと何もしないのでは?」
「将来やりたいことが見つかっていないようで、不安になる」
「通信制高校での学びを、子どもの未来にどうつなげればいいのだろう」
「見守ることが大事だと分かっていても、どこまで手を出していいのか分からない」
どれも、子どものことを大切に思っているからこそ生まれる問いです。
親は、わが子の未来を思うほど不安になります。
失敗してほしくない。遠回りしてほしくない。困らない人生を歩んでほしい。 だからつい、「早くしなさい」「勉強しなさい」「ちゃんと考えなさい」と言いたくなる。
僕自身も親ですから、その気持ちはよく分かります。
でも、
子どもは「言われたから」だけでは、本当の意味では動き出しません。
人が変わるのは、自分で気づいたときです。 自分で選び、自分で動き、その結果を自分で受け止めたときです。
たとえ失敗しても、「自分で決めた」という経験があるからこそ、その失敗は次の学びに変わっていきます。
子育ては、ずっと手をかけ続けることではありません。
少しずつ、手を放していくことです。 もちろん、放っておくという意味ではありません。突き放すことでもありません。
親が先回りして答えを渡すのではなく、子どもが自分で考える余白を残す。 選ぶ経験を奪わない。 迷う時間を信じる。 必要なときには、横に立って支える。
この「手放し方」こそ、これからの子育てでとても大切なスキルだと僕は考えています。
この連載では、保護者の皆さんの悩みを、 大きく三つのテーマに分けて考えていきます。
「スマホばかりで勉強しない」「家では集中できない」「課題に取りかかるのが遅い」 「成績が上がらないとき、どう励ませばいいのか」
目の前の行動にイライラしたり、不安になったりする場面を取り上げます。
「勉強しなさいと言ってしまう」「怒りたくないのに怒鳴ってしまう」
「最近、子どもが話してくれない」「信じて見守るとは、結局何をすることなのか」
親の言葉が、子どもを管理するものではなく、子どもの自律を支えるものになるにはどうしたらよいのかを考えます。
「やりたいことが見つからない」「将来の夢が現実的に見えない」
「探究学習にどう向き合えばいいのか」
「クラークでの学びを、社会に出る力へどうつなげるのか」
子どもが未来を“親の期待”ではなく、 “自分の人生”として考え始めるための関わり方を探っていきます。
この連載でお届けしたいのは、すぐに子どもを変える魔法の言葉ではありません。
むしろ、子どもを変えようとする前に、親のまなざしを少し変えることです。
✔「なぜ動かないのか」と責める前に、
「この子はいま、何を選べずにいるのだろう」と見てみる。
✔「早く答えを出しなさい」と急がせる前に、
「自分で決める経験を積んでいる途中なのだ」と捉えてみる。
その小さな変化が、親子の関係を少しずつ変えていきます。
子どもは、親の思い通りに育つわけではありません。
けれど、親が信じた方向には、少しずつ育っていきます。
この子は、きっと自分で考えられる。
この子は、失敗してもやり直せる。
この子は、自分のタイミングで動き出せる。
そう信じることは、甘やかしではありません。 子どもの中にある力を引き出す、親の大切な関わり方です。
💡次回からは、いよいよ具体的な保護者の問いを取り上げていきます💡
最初のテーマは、きっと多くのご家庭で一度は悩んだことのある問いです。
「うちの子はスマホばかりいじって勉強しないのですが、大丈夫でしょうか?」
この問いから、子どもの主体性を育てるために、親は何を言い、何を言わず、どう見守ればよいのか。一緒に考えていきたいと思います。
■山本崇雄先生プロフィール■
進徳女子高等学校校長(2027年度より環太平洋大学広島高等学校)・日本パブリックリレーションズ学会前理事長ほか。 都立中高一貫教育校を経て、2019年より複数の学校及び団体・企業でも活動する二刀流(副業)教師。
Apple Distinguished Educator、LEGO® SERIOUS PLAY® メソッドと教材活用トレーニング終了認定ファシリテーター。「教えない授業」と呼ばれる自律型学習者を育てる授業を実践。子どもから社会人まで、自律型人材育成をテーマにした講演会、出前授業、執筆活動を精力的に行っている。
検定教科書『NEW CROWN ENGLISH SERIES』『My Way』(三省堂)の編集委員を務めるほか、著書に『「学びのミライ地図」の描き方』(学陽書房)『なぜ「教えない授業」が学力を伸ばすのか』(日経BP社)、『学校に頼らなければ学力は伸びる』(産業能率大学出版部)『「勉強しなさい!」と言わない子育て 学ぶ力の育て方』(時事通信出版)『「教えない」から学びが育つ』(ウェッジ)ほか、監修書に『21マスで基礎が身につく英語ドリルタテ×ヨコ』シリーズ(アルク)がある。
◼︎note https://note.com/takao_y


